中国の美容室に行った男の末路

ピイスケ
ピイスケ

こんにちは。ピイスケです

以前、私は中国へ留学していました。

今回は留学中に床屋に行った時の話をしたいと思います。

何の参考にもなりません。
それでは、どうぞ。

中国留学から3か月…

簡単な中国語が聞き取れるようになり、わずかに中国語もしゃべることができるようになったころ…

私の髪はぼっさぼさになっていました。

同じく日本から中国に留学に来ていた大学生たちの多くは

・日本に一時帰国したときに髪を切ったり…
・中国にある高級な美容室に行ったり…(100元以上、当時レートで1250円以上)
・自分で切ったり、友達に切ってもらったり…


することで散髪問題を解決していたのですが…

日本に一時帰国したり高級な美容室に行くようなお金はない上に、髪を切ってもらえるほど親しい人もいない私は、

髪を切らなくっても死ぬわけじゃないし…などと自分に言い聞かせ散髪を避けていました。

留学をしたことがある等、海外に一定期間住んだ経験のある方ならわかると思うのですが、海外で初めて髪を切るというのはなかなか勇気がいるのです。

ただ…前髪が目に入ってきて勉強に支障が出るような状況になってくるとそうも言ってられなくなり、私はようやく髪を切ることを決意したのでした。

水島理髪店(しゅいだおりーふぁーでぃえん)

お金も友達もない私は「現地人が行くローカルな理髪店」に行くことにしました。
このローカル理髪店というのは激安なのです。

とはいっても年配者向けの理髪店に突撃して角刈りにされるのは勘弁なので…
若者向けの理髪店を探します。

すると…大学の傍に一軒。速攻で見つかりました。



水嶋ヒロの写真(99.9%無許可)をでかでかと店頭に掲げるそのお店は、自信たっぷりに「水島理髪店」を名乗っています。

カットは驚きの10元!(125円くらい)

水嶋ヒロの髪型に10元でできたら、それはもう大満足でしょう。

ピイスケ
ピイスケ

よし決めた!!!

善は急げです。授業終わり早速理髪店に向かいました。

昼下がりのがらんとした店内に入ると若いお兄さん(以降水島さんとします)が1人暇そうにスマホをいじっています。

ピイスケ
ピイスケ

にーはお!!!

私が声をかけ、近くの大学に留学している日本人だと伝えると水島さんは割とガチでビビっていました。

水島さん
水島さん

何故ここに日本人!?けど、一応客だし…どうしよう。)

口にこそ出していませんが、水島さんの葛藤は表情から容易に見て取れます。

水島さん
水島さん


水島さん
水島さん

请坐。(お座りください)

とりあえず客として認めてくれたようです。

ピイスケ
ピイスケ

(よかった…)

椅子に腰かけると、水島さんは日本のヘアカタログを手渡してきました。

ピイスケ
ピイスケ

(おっ!!)

きちんとこんな雑誌を用意しているなんて…これはいいお店かも?
と期待に胸膨らませる私。

雑誌の中からショートヘアーの無難なモデルを選びます。

終わりの始まり。

まずはシャンプーから入ります。

首の周りにタオルを巻かれたのち、椅子を倒されて洗面台にあおむけになる形でセットされる私。

シャー

ピイスケ
ピイスケ

(あぉっ…冷…水!?)

春先のまぁまぁ冷たい水が感覚を100%覚醒させます。


キター!!!という感じです。(古い)

普通

1.シャー(水を出す)
2.美容師さんが温度確認
3.シャー(頭にシャワー)
4.熱くor冷たくないですか?
5.いえ、丁度いいです~


の5ステップだと思うのですが、

水島流はストレートに

1.シャー(水を頭に出す)


のワンステップ。男気洗髪です。

ピイスケ
ピイスケ

(スーパーマリオ64のRTAかよ。)

初っ端からこれ?
一抹の不安がよぎります。

でも…

よくよく考えると、

10元。125円です。

水島ヒロのようなイケメンに125円でなれるのなら、頭に冷水をかけられることなどアトラクションの一部だと思わなければなりません。

スプラッシュマウンテンで濡れるようなものです。

ピイスケ
ピイスケ

(そもそも、海外で日本と同じサービスを期待している時点でズレてっからな!?)

ピイスケ
ピイスケ

(世界スタンダードはワンステップダイレクト冷水かもしれねぇからな!?)

心の中で水島さんを謎に擁護しつつ平静を装いました。

しかしエンターテイナー水島はとどまることを知りません。

タオルの巻きが甘いのか、リクライニングが甘いのか。
頭から首を伝った水が背中を絶え間なくしっとりさせます。

イメージ図(下手で申し訳ありません)

ピイスケ
ピイスケ

…つっめてぇ~(ワナワナ)

シャンプーが終わったころには私の背中は屋久島くらいびしょびしょでした。

ピイスケ
ピイスケ

(水島ぁー!!!)←チキン

カット開始


非常に味わい深いシャンプーを終え、やっとメインディッシュ(カット)に入ります。

美容師の腕の見せ所です。

と、ここであることに気づきました。

鏡越しに見える水島さんの手が…震えているのです。

しかも…目!!


その漆黒の瞳はまるで別次元のどこかを見ているような虚ろさを湛えており、さながらディメンター(吸魂鬼)にディープキスを受けたかのようです。

生気を…失っています。

ピイスケ
ピイスケ

(こわ)

その上困ったことに、ここまで来て二人とも後に引けなくなっています。

水島さんの切りたくないという願い。
私の切られたくないという願い。

二人の願いは間違いなく「切らない」ことで叶うのに、その願いは絶対に叶わないと理解(わか)る。

異様な空間がそこにはありました。
 

水島さん
水島さん

ピイスケ
ピイスケ

恐怖の中、水島さんの気持ちを想像してみます。

いつもだったら現地の人と中国語で会話しながら、楽しく仕事をしているはずなのに…
突然外国人が店に来て、カットをお願いしてくる。
中国人の好みや流行ならわかるけど、外国人は…?
しかも店には自分一人…

そりゃ緊張するにきまってます。
いつものパフォーマンスを発揮するのはかなりの度量がいります。

もしかしたら私は水島さんにとって初めての外国人客なのかもしれません。

ピイスケ
ピイスケ

(水島さんの目。これは恐怖に立ち向かっているときの目なんだ。)


かつて大戸屋でバイトしていた頃。米を炊き忘れたことを店長に報告したときの私の目だって、こんな目をしていたことでしょう。


(米は近くの店舗まで走って借りに行った)

人間には恐怖と戦わなければならないときがあるのです。

私は覚悟を決めました。

水島さんには「外国人のカットをした」という経験を積んで、美容師として更なる高みを目指してほしい。

私も水嶋ヒロになれるなら、何だって耐えます。

水島さんも覚悟を決めたようです。

水島さん
水島さん

…!!

ピイスケ
ピイスケ

(水島…お前のすべてをぶつけてみろ!!!!)

そして20分後…

鏡に映っていたのは…

パ ン ク ブ ー ブ ー 黒 瀬

黒瀬
黒瀬

えっ?

パ ン ク ブ ー ブ ー 黒 瀬


です。

これが私?っていうか…

これ?

黒瀬
黒瀬

(終わり…じゃないよね?)ポリポリ

水島さん
水島さん

😤

水島さんは一皮むけた顔をしています。

黒瀬
黒瀬

黒瀬
黒瀬

あっ!!

…重要なことを忘れていました。
まだ髪のセットをしていません。

この髪型、ワックスやらジェルやらつけて初めて完成するやつか!!

黒瀬のままでは帰れない私は、勇気を出してワックスをつけてもらうことをお願いします。

黒瀬
黒瀬

可以做头发吗?(髪をセットしてもらえますか?)

水島さんは無言でワックスを手に取り、私の髪を仕上げていきます。

そして、みるみるうちに仕上がっていく…

髪 の 毛 を つ ん つ ん さ せ た
パ ン ク ブ ー ブ ー 黒 瀬

水島さん
水島さん

好了。(できた)

黒瀬
黒瀬

黒瀬
黒瀬

好的!!!!!謝謝!!!(オッケー!ありがとう!)

もうこれ以上何も言うまい。

恐怖を乗り越えた先にあったのは、

外国人の髪を切るという経験を積み、一回り大きくなった美容師と、


髪をつんつんさせたパンクブーブー黒瀬でした。

黒瀬
黒瀬

行かなきゃよかった~。

その後、ピイスケは大学の寮でセルフカットに勤しんだということです…
めでたしめでたし…

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